近年では、年齢を重ねても自ら住宅を所有せず、賃貸住宅に住み続けている人が少なくありません。その理由は人それぞれですが、経済的事情に加えて価値観の多様化が影響しているものと考えられています。簡単に言えば、持ち家へのこだわりがそれほど強くなくなってきたということになります。自分が住む家を自ら所有するというのは生活の安定度を考えると非常に合理的なライフスタイルですが、考え方によってはローンの返済や近隣との固定的な人間関係が「束縛」ともなり得ます。
その点、賃貸暮らしは利息の返済も固定資産税の負担も必要なく、転居も比較的簡単です。最近は、こうした身軽な生活を続けることに魅力を感じている人が増えてきています。このような世相を反映して、賃貸住宅市場では高齢になっても安心して暮らしやすい環境を整えた物件が増加する傾向にあります。その具体例として挙げられるのが、バリアフリー仕様のアパートやマンションです。
東京都内でもその傾向は強く、不動産情報サイトで検索してみるとバリアフリーを謳った東京の物件が多数ヒットします。高齢者が何より不安に思うのは、体力が衰えてきた時に周囲のさまざまなモノや設備に不便が生じることで生活の質が低下してしまうことです。そんな時、持ち家であれば自ら費用を負担して手すりを取り付けるなどのリフォームを行い、不便を解消することができます。こうしたバリアフリーリフォームは、社会の高齢化が進行するに伴って需要が増加しています。
賃貸業界においても、事情は同じです。バリアフリー化された物件を用意し、東京のような賃貸需要の多い地域において暮らしやすさをアピールすることで、入居者獲得につなげる動きが見られます。
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